音楽制作における著作権契約の注意点:トラブルを避けるために
- mstyle0914
- 6月14日
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2025年6月14日

音楽制作を受注する際、クリエイターとして最も気をつけたいのが著作権に関する契約内容です。契約書の内容を確認せずに安易に契約を結んでしまうと、後々トラブルに発展したり、自身の権利が侵害されたりする可能性があります。
ここでは、音楽制作を受注する際に特に注意すべき著作権に関するポイントを解説したいいと思います。
1. 著作権の帰属を明確にする
最も重要なのは、制作した楽曲の著作権が誰に帰属するのかを明確にすることです。
クライアントに著作権を譲渡するのか?:
この場合、制作した楽曲の著作権はクライアントに移り、クリエイターは原則としてその楽曲を自由に利用できなくなります。将来的な二次利用(自身の作品集への掲載、別案件での使用など)を考えている場合は、慎重に検討が必要です。
著作権は自身に留保し、利用許諾を与えるのか?:
著作権を譲渡せず自身で保持しつつ、クライアントに対して楽曲の利用を許可する形です。この場合、利用期間、利用目的、利用範囲(例:特定のプロモーションビデオのみ、ウェブサイトのみなど)を詳細に定める必要があります。
契約書には、著作権のどちらに帰属するのか、そして著作権を譲渡する場合の対価や利用許諾を与える場合の条件を具体的に明記しましょう。著作権を共有する(共有著作権)方法も検討してもいいかと思います。
2. 著作者人格権について理解する
著作者人格権は、著作権とは別に著作者に与えられる一身専属的な権利で、譲渡することができません。具体的には以下の3つの権利が含まれます。
公表権:まだ公表されていない著作物を公表するかしないかを決定する権利。
氏名表示権:著作物に氏名を表示するかしないか、表示する場合の実名・変名の決定する権利。
同一性保持権:著作物の内容や題号を、著作者の意に反して変更されない権利。
クライアントから楽曲の改変を求められた場合でも、著作者人格権があるため、クライアントが勝手に改変したとしても無制限にそれを受け入れる必要はありません。事前に改変の範囲や条件について話し合い、契約書に盛り込むことが重要です。
3. 使用許諾の範囲と期間を明確にする
著作権を自身が保持する場合、クライアントが楽曲を利用できる範囲と期間を具体的に定める必要があります。
利用媒体:テレビCM、ウェブサイト、YouTube、イベント会場など、どこで使用されるのか。
利用目的:プロモーション、商品販売、企業ブランディングなど。
利用地域:日本国内のみ、全世界など。
利用期間:永久、1年間、イベント期間中のみなど。
曖昧な表現は避け、「〇〇の目的で、〇〇の媒体に、〇〇の期間、日本国内での利用を許諾する」といった形で出来る限り詳細に記述しましょう。将来的な契約外の追加利用が発生した場合に追加料金についても明記しておくと安心です。
4. ロイヤリティ(二次使用料)に関する取り決め
楽曲がヒットし、再利用される機会が増える可能性を考慮し、ロイヤリティに関する取り決めも重要です。
楽曲がテレビやラジオで放送された場合。
CDやダウンロード販売など、商品として収益が発生した場合。
別のメディアで二次利用された場合。
これらのケースで、制作料とは別にロイヤリティが発生するかどうか、発生する場合の料率や支払い方法を明確にしておきましょう。特に、印税契約に不慣れな場合は、弁護士や音楽業界に詳しい専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。
5. 契約書は書面で、専門家と相談を
口約束ではなく、必ず書面で契約書を交わしましょう。
契約書には、上記で述べた項目以外にも、報酬、納期、制作物の仕様、秘密保持義務、損害賠償に関する条項など、詳細な内容を盛り込む必要があります。
もし契約書の内容に不安がある場合は、弁護士や著作権に詳しい専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、自身の権利を守ることができます。
まとめ
音楽制作における著作権契約は、クリエイターとしての活動を継続していく上で非常に重要な要素です。目先の利益だけでなく、自身の制作物が広く知れ渡りクリエイターとして知名になるなど将来的でかつ広い視点も持って契約内容を吟味することが大切です。
クライアントと契約について話し合うことは、コミュニケーションでもあり信頼関係に寄与します。適切な知識と準備で、安心して音楽制作に取り組んでいきましょう。





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