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業務委託契約書について:フリーランスが知っておくべきポイント

2025年7月29日


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 いつもブログをご覧いただきありがとうございます、行政書士の松浦です。早いことに8月になってしまいましたね。まだまだ暑い日が続きますが、暑さに負けないよう体調管理をしっかりとしてこの夏を乗り越えようと思います。

 今回の記事は、業務委託契約書に関する記事になります。音楽クリエイターやイラストレーターなどのクリエイターの方で、フリーランスとして働く上で、業務委託契約書は自分を守るための非常に重要な書類です。口約束ではなく、書面でしっかりと契約を交わすことで、後々のトラブルを避けることができます。この記事では、業務委託契約書で特に注目すべきポイントを解説します。



★なぜ業務委託契約書が必要なのか?

 業務委託契約書は、依頼主とフリーランス(受託者)の間で、どのような業務を、どのような条件(報酬等)で行うのかを明確にするためのものです。これにより、以下のようなメリットがあります。


トラブルの防止: 報酬の未払いや業務範囲の認識違いなど、よくあるトラブルを未然に防ぎます。

責任範囲の明確化: 契約内容に基づいて、各自の責任範囲が明確になります。

法的な証拠: 万が一、紛争が発生した場合でも、契約書が法的な証拠となります。



★契約書で特に確認すべき6つのポイント

 業務委託契約書には様々な項目がありますが、特に以下の点には注意して確認しましょう。


1. 業務内容と範囲

 最も重要な項目の一つです。

業務の具体性: どのような業務を、どの程度まで行うのかが具体的に記載されているか確認しましょう。例えば、「〇〇の資料作成」だけでなく、「〇〇に関する市場調査レポートの作成(A4、10ページ程度)」のように、具体的に成果物や作業内容が明記されていると良いでしょう。

修正回数: 楽曲などの成果物は依頼者がイメージと違うなどの理由で修正を求めてくるケースがよくあります。修正は、何回まで対応するのか、それ以上は追加料金が発生するのかなど、明確になっているか確認が必要です。

業務範囲外の対応: 契約にない業務を依頼された場合の対応についても、事前に取り決めておくことが重要です。


2. 報酬と支払い条件

 お金に関わる部分は、最もトラブルになりやすい点です。

報酬額: 報酬額、報酬の計算方法が明確か確認しましょう。

支払い期日: いつまでに支払われるのか、具体的な日付や「納品月の翌月末払い」などの期日を確認しましょう。支払い方法: 銀行振込か、現金かなど、支払い方法も確認が必要です。振込手数料の負担についても確認しておきましょう。

源泉徴収: 源泉徴収される場合は、その旨が記載されているか、また税額が正しいかを確認しましょう。

消費税: 報酬に消費税が含まれるのか、別途請求するのかを明確にしておきましょう。


3. 契約期間と更新・解除

 契約がいつ始まり、いつ終わるのか、また途中で解除される場合の条件を確認します。

契約期間: 具体的な開始日と終了日が明記されているか確認しましょう。

契約の更新: 契約を更新する際の条件(自動更新か、協議の上更新かなど)を確認します。

契約の解除: どのような場合に契約が解除されるのか、その際の条件(違約金の有無など)が明記されているか確認が必要です。


4. 知的財産権

 特にクリエイティブな業務の場合、非常に重要な項目です。

権利の帰属先: 制作物(楽曲、デザイン、プログラムなど)の著作権やその他の知的財産権が、依頼主とフリーランスのどちらに帰属するのかを明確にしましょう。

二次利用: 制作物が依頼主によってどのように二次利用される可能性があるのか、その場合の報酬はどうなるのかも確認しておくと良いでしょう。


5. 秘密保持義務

 業務を通じて知り得た情報を外部に漏らさないための取り決めです。

対象範囲: どのような情報が秘密情報に該当するのか、その範囲を確認しましょう。

期間: 契約終了後も秘密保持義務が継続するのか、その期間はいつまでなのかを確認しましょう。


6. 損害賠償

 万が一、契約違反があった場合の取り決めです。

責任範囲: どのような場合に損害賠償が発生するのか、その責任範囲はどこまでなのかを確認しましょう。

上限額: 損害賠償の請求に上限が設けられているかどうかも確認ポイントです。



★契約書を締結する際の注意点

不明点は必ず確認する

契約書の内容で不明な点や疑問に思うことがあれば、必ず契約を締結する前に依頼主に確認し、納得するまで話し合いましょう。契約書に協議に関する条項を盛り込むようにしましょう。

控えの保管

契約書は必ず控えを受け取り、大切に保管しましょう。電子契約の場合も、データをダウンロードして保存しておくようにしてください。

専門家への相談: 内容が複雑な場合や、高額な案件の場合は、弁護士や行政書士といった法的な専門家に相談することも検討しましょう。



 業務委託契約書は、フリーランスとして活動する上での「羅針盤」のようなものです。しっかりと内容を理解し、自分にとって不利な条件になっていないか、慎重に確認することで、安心して仕事に取り組むことができます。

 
 
 

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