「古いMacで最新OSを動かすのは違法なん?」行政書士が解説するプログラムの著作物と「同一性保持権」について解説します。
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2026年4月7日(火)

ブログをご覧いただきありがとうございます。著作権法務(知的財産権)専門の行政書士、松浦です。 今回の記事では、プログラムの著作物と「同一性保持権」をテーマに解説します。
パソコンは、今や仕事やプライベートに欠かせない必須アイテムです。価格も数万円から数十万円と幅がありますが、決して安い買い物ではありません。
「愛着のあるツールを、できるだけ長く使い続けたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、長年愛用してきたMacがメーカーのサポート対象外となり、最新のmacOSがインストールできずにお困りの方も多いはずです。そんな中、有志によって開発された「OpenCore Legacy Patcher(OCLP)」を利用し、非対応機種に最新OSを導入する手法が注目?!されています。
ここで気になるのが法的に問題ないのか?です。一見すると「メーカーが制限しているシステムを改変する行為」には問題がないのでしょうか?
今回は、プログラムの著作物に関する権利、特に「同一性保持権」の観点から、その根拠法令を整理し、法的な考え方を紐解いていきます。
1. 原則:著作者には「同一性保持権」がある
著作権法第20条第1項には、著作者が自分の著作物の内容や題号を、意に反して改変されない権利(同一性保持権)が定められています。macOSは「プログラムの著作物」ですので、本来であればAppleに無断でそのコードを書き換えたり、パッチを当てたりする行為は、この権利を侵害する可能性が出てきます。
2. 例外:なぜOCLPによる改変は認められるのか?
ここがポイントです。著作権法第20条第2項第3号には、以下のような「除外規定」が存在します。
【著作権法 第20条 第2項 第3号】 特定の電子計算機においては利用することができないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにし、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
OCLPは、まさに「本来動かない古いMac(パソコンなど)」で「macOSを利用し得るようにする」ためのツールです。この条文があるおかげで、ユーザーが自分のハードウェアで動作させるために必要な最低限の改変を行うことは、同一性保持権の侵害には当たらないと解釈されます。
3. 複製や翻案についても法的なバックアップがある
改変だけでなく、パッチを当てたOSをインストール(複製)する行為についても、別の条文がサポートしています。
【著作権法 第47条の3】(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等) プログラムの所有者は、自ら利用するために「必要と認められる限度」において、複製や翻案(改変)ができると定められています。
つまり、「自分のMacで動かすため」という私的な目的の範囲内であれば、プログラムを書き換えてインストールする一連の行為は、日本の著作権法上、適法な権利行使の範囲内といえます。
4. 行政書士としての視点:注意すべき「境界線」
ただし、あくまで「個人が自分の端末で利用する」ことが前提です。以下のケースでは、法的なリスクが急増するため注意が必要です。
商用配布・販売の禁止
OCLPで最新OSを入れたMacを、「最新OS搭載モデル」として不特定多数に販売する行為は、譲渡権や公衆送信権の侵害、あるいはAppleとの契約違反によるトラブルを招く恐れがあります。
Appleとの契約(EULA)は別問題
日本の法律上はOKでも、Appleの利用規約(EULA)には抵触する可能性があります。公式サポートや修理が受けられなくなる「契約上のペナルティ」については、自己責任の範疇となります。
最後に。
古い機材を愛着を持って大切に使い続けることは、環境負荷の低減にもつながる素晴らしいと思います。プログラムの著作権に関する例外規定を正しく理解し、法的なリスクを把握した上で、適切なITライフを楽しみましょう。 著作権に関するご不安があれば、お気軽にご相談ください。





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